なんで航空会社は取消料免除でも、旅行会社から取消料を取られる場合があるの考える
※最初に
タイトルの件について考えてみますが、一番あるあるな場合を書いたのみで、すべての場合に当てはまるわけではないのでご容赦ください。
新型コロナウイルスの蔓延を受け、政府も「イベントは自粛するように」「公立学校は休校するように」などというお達し出しています。
特にイベントに参加する予定だった人にとって、この事態は一大事。
かくいう私もイベントの中止に伴い遠征を断念した一人です。
そんな時に気になるのが、「手配したチケットは返金してもらえるのか」ということ。
今回は、JAL・ANAとも国内線航空券の無料取消が可能となりました。
こういったニュースが出たとき、SNSなどでよく見かけるのは「JALは取消料免除したのに、J●Bでは取消料取られた。。。」などという書き込みです。
なぜこういったことが起こるのか、昔旅行業の資格を取った時の知識をもとに、考えてみたいと思います。
まず、旅行会社に旅行者がお願いするとき、いくつかのパターンがあります。
本当に大きく分けると…
・手配旅行 → 旅行者が、ANA●●便取って!ホテルはここ!のようにパンフレットに縛られないでプランを作るもの
・企画旅行 → エースや赤い風船のように、旅行会社がパンフレットを作って、「この中のプランで旅行する人~!」と旅行する人を集めるもの
厳密にいうと、この説明では十分ではないのですが、大体こんな感じです。
この手配旅行か企画旅行かで結構変わってきます。SNS上で問題になるのは、主に後者になります。
A.手配旅行の場合
手配旅行だと、旅行会社は旅行者が、JRや航空会社のチケットを取ることの「お手伝いをする」形になるので、取ったチケットは、JRや航空会社のサイトで取ったものと変わりはありません。(旅行会社はこの「お手伝い」に対して実は手間賃をとることができるのですが、どこの会社もボランティアでやっていますね。その代わり、国内旅行であれば運送企画から数百円程度の紹介料をもらっています)
なので、運送機関が「取消料は要らないよ!」と言えば、取消料はかからなくていいものと考えていいです。
B.企画旅行の場合
飛行機のチケットなどがネットで取れてしまう現代、旅行会社にお願いするのはほとんどがこの形だと思います。
企画旅行だと、ほとんどの場合、ホテルなどがセットとしてついてきます。この場合は、旅行会社の仕入れ部門が、運送機関や旅館からそれぞれ、特別に企画旅行用の商品を(普通のチケットや宿泊よりも)安く仕入れし、それを組み合わせて売っています。
例えば東京に住んでいる人が、京都への企画旅行商品を買った場合、JRの便さえうまく選べば、普通に窓口でJRの往復のチケットを取るのとほぼ変わらない値段で、宿泊までお願いすることができたりします。
この企画旅行の場合、何か有事が起こると…
①運送機関はまず自分たちが直接売っているお客様に対して取消料を免除する
②その裏で、旅行会社の仕入れ部門は、自分たちが独自に仕入れている企画旅行用の商品(運送機関のチケットやホテルの宿泊)の取消料免除を各機関と交渉する
③運送機関やホテル等と折衝ができたら、旅行会社も取消料を免除する動きになる
という順番になります。
②でOKが出ない限り、万一「取消料は無料です!」と旅行会社が謳っても、JRが「いやいや、旅行会社さんからは取消料取りますよ!」となったら旅行会社は大損です。
③が出て、旅行会社の仕入れ部門から、各店舗に通達がいって初めて、企画旅行の旅行者に「取消料免除です!」という話ができることになります。
だから、企画旅行では「運送機関と旅行会社の判断には必ずズレが生じる」のです。
たいていの場合、運送機関が個々の直販のお客様に対して取消料を免除した場合、いずれ旅行会社に対しても取消料免除となります。
つまり、「なんで旅行会社からはキャンセル料がかかるの!」と目くじらを立てず、待つことが肝要です。
今回であれば、2月28日ごろから、(おそらく運送機関やホテルと旅行会社との間でおおむねの話がついて)旅行会社の企画旅行では取消料免除の動きが始まっています。
それまでは旅行会社も、取消料を免除するにあたっての何の保証もないので、取消料は収受しています。つまり、2月26日にキャンセルした人は取消料が取られて、2月28日にキャンセルした人は取消料免除になる、という逆転現象が起こる可能性があるということです。ここで先に取消料を払ってしまった場合、旅行会社は返金する義務はないので、取消料が返ってくることはありません。。。
企画旅行を申し込んだ旅行者は、今後運送機関等が取消料なしでいいよという判断をするかどうか、冷静に見極めることが必要になりますね。
もちろん早くキャンセルしたほうが、いざ取られるとなった時の取消料は安くて済むので、非常に難しいのですが。。。
ぜひご記憶いただき、有事の際にご活用ください。